ストーリー

【クラウドファンディング事例】「富山を盛り上げたい!」昭和女子大生が挑んだ星空ナイトシアター

富山県と新潟県の県境に位置する朝日町。ここには日本の渚100選にも選ばれた「ヒスイ海岸」と呼ばれる東西約4kmに連なる美しい海岸があります。しかし、この海岸を知る人は少なく、観光客も年々減少の一途。昔は4~5件あった海の家も、現在たった1件しか残っていません。

ヒスイ海岸

そんなヒスイ海岸を多くの人に知ってもらい朝日町に足を運んで欲しいと立ち上がったのが昭和女子大学 Girls Dream Factory。彼女たちは、透き通った美しい海と満天の星空が広がる海岸で映画鑑賞会を開催するために、クラウドファンディングで資金を集めることを決意しました。

ヒスイ海岸・星空のナイトシアター』を開催し、朝日町の魅力を全国に届けたい!

2016年6月から準備を始め7月1日に支援の募集を開始。8月4日までの約1ヶ月間で支援金額46万円(目標金額131%達成)、支援者数127人を集め見事にクラウドファンディングを成功させました。

2016年6月

クラウドファンディング立ち上げの準備を開始。

2016年7月1日

クラウドファンディングスタート。

2016年7月7日

スタート1週間で目標金額の50%を上回る20万円を達成。

2016年7月20日

目標金額35万円を達成。

2016年8月4日

クラウドファンディングでの募集を終了。支援金額46万円、支援者数127人を集めることに成功。

2016年8月5日、6日

ヒスイ海岸でナイトシアターを開催。
ヒスイ海岸でのナイトシアター

2016年10月

支援者にリターンの発送を開始。

初めてのクラウドファンディング挑戦を見事に成功させたGirls Dream Factory。クラウドファンディングを通してどのような体験をしたのでしょうか?そこで今回は、昭和女子大学・Girls Dream Factory代表の坂本彩さんと副代表の佐伯愛理さんにいろいろなお話を伺いました。

(右)Girls Dream Factory 代表 坂本さん (左)Girls Dream Factory 副代表 佐伯さん
(右)Girls Dream Factory 代表 坂本さん (左)Girls Dream Factory 副代表 佐伯さん

クラウドファンディングは「一歩を踏み出すキッカケ」

(ドリームレイジング)坂本さんと佐伯さんは昭和女子大学の3年生ということですが、普段はどういうことを勉強しているのですか?

(佐伯)私たちが専攻しているのはグローバルビジネス学部ビジネスデザイン学科で、主に英語と経済を勉強しています。2年生の前期には全員がボストンにある昭和女子大学の寮に留学して、英語で経済を学んだりもしています。3年間、英語と経済しかやってない感じです(笑)

勉強する分野はマーケティングから会計・ファイナンス・法律まで幅広くて、3年生になるとゼミの中で自分の興味ある分野を深掘りして研究しています。座学だけではなく、外に出てフィールドワークというか企業などとコラボしてプロジェクトを実行したり、現場で学べるような機会も昭和女子大学は整っているのかなと思います。

(ドリームレイジング)そういう環境の中で二人はGirls Dream Factoryという学生団体を立ち上げてますね?どういう団体ですか?

(佐伯)はい。山田隆先生が顧問です。

(坂本)昭和女子大学の学生って、どこかで自分のことを諦めてるというか、自分はそんなにできる人間じゃないみたいに思って、自信をなくしている学生が多くて。私的には何なんだろうなという雰囲気があって。そのまま自信をなくしたまま4年間の大学生活が終わってしまうのはすごくつまらないじゃないですか。だったら、私たちがいろいろなキッカケを作って、こういう世界もあるんだというのが知れて、自分の将来の夢を決められるような場を作りたいと思って、立ち上げました。

何かに挑戦する、一歩を踏み出すキッカケを作るというのをミッションに掲げて、夢工房じゃないですけど、女の子たちが自分のやりたいことを自信を持ってやれるような場が作れたらなという想いでGirls Dream Factory(以下、GDF)という名前を付けました。

(ドリームレイジング)そのGDFの活動の中で富山県朝日町の地域活性に関わることになったキッカケは?

(坂本)佐伯の知り合いの方がToyama Connect College(以下、TCC)という東京と富山を繋ぐ活動をしている団体に所属していて、昭和女子大学の理事長の坂東眞理子先生が富山出身という縁もあり、ぜひ昭和女子大学の学生も参加してほしいという話になって、佐伯の声掛けで勉強会に参加したのがキッカケです。

その勉強会の中で、どこに行くか3つほど候補があったんですが、朝日町は海と山に囲まれていて、両方を楽しめるというのが私たちにはすごく魅力的で、「これは朝日町しかないでしょ!」ということになりました。2月にフィールドワークということで実際に朝日町を訪れています。

(佐伯)TCCは富山と女子学生を繋げたい、富山を盛り上げたいという想いがあって、私たちを紹介するために連れて行った形です。

(坂本)TCCのゴールとしては、何回かディスカッションして、実際に東京からの移住計画のアクションプランを策定するというのがあったので、朝日町を知るためにフィールドワークに行った感じですかね。私たちとしては、いろんなところに行ってみたい、富山に安く行けるという気持ちも正直ありました(笑)でも、行ってみたら想像以上に良くて、朝日町の地域活性をやってみたいと思いました。

朝日町でのフィールドワーク

1日目の夜、みんなで移住計画のアクションプランを議論していると、「そもそも移住ってするんだろうか?」「移住しろと言われてするんもんじゃないよね。」「どうしたら移住したいと思うんだろう?」といろいろな意見が出たのですが、まずは朝日町の魅力を伝えたい、朝日町を楽しいと思ってもらえなければ移住なんてしてもらえないよね、というシンプルな答えに。そんな中で朝日町にはヒスイ海岸という綺麗な海があるんですが、年々海水浴客も減少し、昔はたくさんあった海の家がついに一つになってしまったという話を聞きました。しかも一人で。。。すごく良くしてくれている朝日町に何か恩返しができないかとメンバーで話していたこともあって、私たちが今年の夏に海の家を盛り上げることができたら面白いんじゃない?やろうか?という流れに。

2日目に朝日町の人たちと食事会があって、その場の軽いノリで「ヒスイ海岸の海の家を私たちで盛り上げられないかと考えてます」と言ってみたら、「いいじゃん!」「やっちゃいなよ!」ってなっちゃって(笑)そこからは知らないうちに私たちの企画が地元メディアにも漏れて、退路を絶たれ(笑)気付いたら、テレビ局や新聞社が取材をしたいという感じになってました。

(佐伯)最初のフィールドワークでは、何か私たちが海の家を手伝って盛り上げることはできないかな、という感じのフワッとした形で終わっちゃいました。その後、3月に前回の報告会ということで2度目の訪問をしたんですが、すごい現地の方が30~40人集まってくださってて、私たちのプレゼンを聞いてくれました。

そこで現地の方と一緒にブレストする機会があり、ナイトシアターをやりたいとかランプで海岸沿いの道をライトアップしたいとかいろいろな案が出てきて、具体的にやれることが広がっていきました。いつの間にか、朝日町の人ともたくさん繋がってましたね(笑)

朝日町でのプレゼンテーション

(坂本)この3月の報告会で今年の夏は私たちが海の家をやります!盛り上げます!と宣言して、6月頃から打ち合わせなど本格的な準備に取り掛かりました。ナイトシアターを実際にやることが決まったのもこの頃です。

(ドリームレイジング)そこでナイトシアターをやるにもお金がかかるので、クラウドファンディングにチャレンジしてみようと?

(坂本・佐伯)そうです。

(ドリームレイジング)その時にクラウドファンディングというものは知ってましたか?

(坂本)知ってました。
(佐伯)名前は知ってました。

(ドリームレイジング)周りですでにクラウドファンディングにチャレンジしたことがある人もいましたか?

(坂本)私はいましたね。

(ドリームレイジング)そんな中でクラウドファンディングにチャレンジしてみようと思ったそもそものキッカケは?

(佐伯)県や町などの自治体から補助を受けていた訳でもなかったので、お金がなかったというのが一番の理由なんですけど(笑)私たちの想いを伝えて、どこまでお金が集まるかチャレンジしてみたかったです。退路は絶たれていて、他に方法も分からず。。。

(坂本)私たちは学生なので、個人で○十万のお金を負担するということも難しく。でも、どうしてもやりたかったのは、団体のミッションとして「一歩を踏み出すキッカケを作る」と普段言っているのですが、その団体の設立メンバーたちがあっさり諦めちゃうとか新しいことに一歩踏み出さないというのはミッションに反するのでは?という想いがあって。そういうことがあって、今回は新しくクラウドファンディングにチャレンジしてみようとなりました。

127名の支援は金額では計れない大切な経験

(ドリームレイジング)結果としては、必要な資金35万を超えて46万を集めて、無事ナイトシアターを開催できた訳ですが、実際にクラウドファンディングをやってみて良かったこと、苦労したことはありますか?

(坂本)良かったことは、純粋に私たちを応援してくれている人の存在に気付けたことですかね。クラウドファンディングを始める前は、誰にも応援されていないんじゃないか(笑)とか期待されていないんじゃないかとか周りの友達はどう思っているんだろうとか私は考えていて、どれだけファンが増やせるか不安な部分も正直ありました。

実際やってみると、予想外のことがいっぱい起こって。例えば、いつもお世話になっている社会人の方が自主的に「知り合いの女子大生がこんなこと始めました。応援よろしくお願いします。」とツイートしてくれたり、少ししか知らない友達が拡散してくれたり、すごく自信につながったし、勇気をもらいました。いろいろあって落ち込んでいた時期もあったんですが、がんばんなきゃいけないなとか、これだけ期待されているプロジェクトなんだということが感じれて、やって良かったなと思いました。あとは、最初の頃は私たちの友達の支援が多かったんですが、やっていくにつれて富山県の人たちの支援が増えて。地元の人たちにも支援の輪が広がっていったことは次に嬉しかったことですね。

(ドリームレイジング)支援者(サポーター)の中には知らない人もいましたか?

(佐伯)結構いましたね。リターンの発送作業をしていて、誰の知り合い?というのが結構ありました。

(ドリームレイジング)佐伯さんも何かクラウドファンディングをやって良かったこと、苦労したことはありますか?

(佐伯)ナイトシアターをやるにあたって、正直最初は誰も何もやってくれませんでした。それどころか、いろんな意見があって、どんどん企画を縮小せざるを得ない雰囲気があったりして。私たちは求められていないんじゃないかとだいぶ病んだ時期もありました(苦笑)

でも、私たちが諦めずにクラウドファンディングを始めて、たくさんの人にメッセージを送って、既読無視されることもありましたし、支援を断られて傷付いたこともありましたけど、逆に、全然会えなくても、すごい長文の応援メッセージを返信してくれたりとか、目に見えて、私たちの想いが届いたんだなって確認できた時は嬉しかったですね。それを金額では計れないかもしれませんが、最低500円からで合計46万円、127名もの多くの方に支援してもらったというのは、私たちの中では大きいことでした。その分、いま発送作業がんばってやってるんですけど(笑)でも、本当に嬉しかったです。

リターン発送中

(ドリームレイジング)逆に苦労したことは何かありますか?

(坂本)いやぁ(笑)詐欺って言われたり、マルチ商法?って聞かれたり(笑)大学の友達ならまだしも、中・高の連絡を取っていない友達に久しぶりに連絡して、唐突に「支援して」と言っても相手はびっくりですよね。クラウドファンディングを知ってる人ならいいんですけど、知らない人だと「そもそもクラウドファンディングって何なの?危なくないの?」とか一から説明しないとダメなので、大変でした。分かってもらえない人からは500円の支援であっても断られましたし。

(佐伯)個人的には、私は途中で心が折れたこともあったんですけど(笑)、始めるまでが大変でした。クラウドファンディングの名前は知っていて、過去のプロジェクトなどを参照して、完成形はこんなページになるんだなというのはイメージできていたんですけど、実際に原稿を書いたり、リターンを考えたりしてみると、たくさん考えることがあって、どこまでいったら何が完成するんだろうというのが見えなくなっちゃって。立ち上げるまでが大変だなと感じました。一回やったことがあれば、だいぶ違うんでしょうが、私はクラウドファンディングの「ク」くらいしか知らなかったので(笑)

支援者集めは計画に時間を掛け、自ら動くことが大切

(ドリームレイジング)実際にクラウドファンディングで支援をお願いするために具体的にしたことを聞かせてください。

(坂本)声掛けとか。SNSだけじゃなく、会える人には直接会って。SNSだと文章になっちゃって、文字では伝わらないところもあるので、会える人には直接会って想いを伝えてました。結構、人には会いましたね。時間作ってもらって、プレゼンもしましたし。あと、初めてのチャレンジだったので、勉強もしました。ここまでに何%集まってないといけない、そのためにはこのくらいの人数に声掛けしてないといけない、という数値をもとに今日までに何人に連絡するとか目標を決めてました。ひたすらメールの文章を作ったり、どういう文章にしたら魅力的で想いが伝わるんだろうとか。Twitterも固定ツイートしてました。

(ドリームレイジング)具体的にどのくらいの人に支援をお願いしましたか?

(坂本)数ははっきり分かりませんが、私の場合は10人中8人くらいの確率で支援してくれましたね。確率は高かったと思います。きちんと想いを伝えてましたし。

(ドリームレイジング)最後にこれから学生でクラウドファンディングにチャレンジしようとしている人にメッセージを。

(佐伯)めげない心(笑)クラウドファンディングはお金を集めている訳なので、学生であっても責任感を持ってきちんとプロジェクトを実行してほしいですね。

クラウドファンディングの体験を楽しそうに語る坂本さん・佐伯さん

(ドリームレイジング)またクラウドファンディングにチャレンジしたいですか?

(坂本)必要があれば(笑)

(佐伯)必要があれば(笑)私たちが学生のクラウドファンディングを成功させたので、周りも口を揃えてクラウドファンディングと言うようになったんですよ。まぁ、その人たちが全員チャレンジする訳ではないんですけど、ひとつの選択肢が増えたというか。認知度も上がったかもしれません。私たちもまた必要があればチャレンジしたいと思います。

編集後記

このプロジェクトは約1ヶ月という短い期間の中で127名の支援を集めることに成功した訳ですが、大きな要因の一つとして彼女たちのソーシャルネットワークを活かした積極的なアピールが挙げられます。ページを訪れた人の約6割がソーシャルネットワークを経由しており、その大部分がFacebookからとなっています(実際に支援した人もソーシャルネットワーク経由が5割を占めています)。

そしてもう一つの要因がメールです。数ではソーシャルネットワークに劣りますが、コンバージョン率(支援に繋がった割合)ではソーシャルネットワークの2倍以上の高い数値を出しており、プロジェクトの成功に大きく貢献しました。

これからクラウドファンディングに挑戦される方は、「ソーシャルネットワークでのコミュニティ作り」「メールリストの整理」をスタート前に準備しておくと、支援がスムーズに集められるのではないでしょうか。